流星ラジオ


「…まだ、あいつとの写真なんて持ってるの?」

一度も染めたことのない、頭の上で一つにくくられた黒髪が揺れる。

砂名から庇うように、羽美は写真立てを胸の前で掻き抱いた。


「ずっと持ってるよ、きっと」

きっと、墓の中まで持っていく。
それが彼への想いを示す証になるのなら。

砂名は部屋の中に入り、険しい表情で羽美を見つめた。


「どうしてよ。あいつが…、海月が羽美を捨てたとは思わないの?」

あの時海月との恋を応援してくれた彼女は、今や一番海月を否定する存在になってしまっている。

「思えないよ」

彼の言葉を信じている。
きっと戻ってくると言った、震える文字。

あの文字に、言葉に嘘はないと。


< 21 / 85 >

この作品をシェア

pagetop