流星ラジオ
「…まだ、あいつとの写真なんて持ってるの?」
一度も染めたことのない、頭の上で一つにくくられた黒髪が揺れる。
砂名から庇うように、羽美は写真立てを胸の前で掻き抱いた。
「ずっと持ってるよ、きっと」
きっと、墓の中まで持っていく。
それが彼への想いを示す証になるのなら。
砂名は部屋の中に入り、険しい表情で羽美を見つめた。
「どうしてよ。あいつが…、海月が羽美を捨てたとは思わないの?」
あの時海月との恋を応援してくれた彼女は、今や一番海月を否定する存在になってしまっている。
「思えないよ」
彼の言葉を信じている。
きっと戻ってくると言った、震える文字。
あの文字に、言葉に嘘はないと。