月物語 ~黒き者たちの宴~
―あなたは愚かだった。
ここまで国と政が乱れたのはあなたのせいだ。
でも私は立て直せる。
まだ誰も本当の私を知らない。
私の力を。
礼は平当を見下ろした。
心の中で何かがうずいた。
「雨乞いを。
今より未来を見なくては。
田畑に水がなくては、来年の穀物も穫れなくなる。」
「しかし、主上。
今、この時を民が苦しんでいるのです。」
平当の目に、礼が映る。
それは、初めてのことかもしれない。
「主上がお決めになったことであるぞ、平大鴻臚長。
主上、運営資金に関しては、この少府長である私にお任せください。」