月物語 ~黒き者たちの宴~



―あなたは愚かだった。
ここまで国と政が乱れたのはあなたのせいだ。
でも私は立て直せる。
まだ誰も本当の私を知らない。
私の力を。



礼は平当を見下ろした。



心の中で何かがうずいた。



「雨乞いを。
今より未来を見なくては。
田畑に水がなくては、来年の穀物も穫れなくなる。」



「しかし、主上。
今、この時を民が苦しんでいるのです。」



平当の目に、礼が映る。



それは、初めてのことかもしれない。



「主上がお決めになったことであるぞ、平大鴻臚長。
主上、運営資金に関しては、この少府長である私にお任せください。」



< 105 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop