月物語 ~黒き者たちの宴~



青年は暫く飛行したのち、大きな満月を振り返った。



「天よ、なぜ“あちら”からお選びになったのか。
私は…」






―“罪”を犯さなければならない。






胸にしまっていた首飾りを取り出した。



中央の装飾は薬入れになっている。



月光に当てられてキラキラと輝きを増した。



まるで美しいものであるかのように。



その嫌みな輝きを再び胸にしまうと、何かを唱え始めた。




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