月物語 ~黒き者たちの宴~



闇より暗い烏だった。



背後に一羽、前方に五羽。



囲まれていた。



ガァア!



真上から声の矢が降ってきた。



「しまった…」



その鳴き声を合図に、黒い獣たちは一斉に飛びかかる。



避けようとしたが、身体が動かなかった。



痛みだけが身体を貫く。



嘴の先が、皮膚を抉った。



しかし,痛みの中でほっとしている自分がいた。


< 16 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop