月物語 ~黒き者たちの宴~

―3―




雲一つない空が、青々と広がる。



礼はその眩しさに目覚めた。



目の奧がじんとしたので、再び目を閉じる。



草原が波打つ音が耳をくすぐった。



その波に乗って、草と土の香りが運ばれては流れる。



礼は、暫くそれを楽しんだ。






フッフッん、フッん。






生暖かく、少しくすぐったい息が、礼の顔にかかった。



懐かしい感覚に目を開く。



「起きたか?」



< 18 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop