月物語 ~黒き者たちの宴~



「お前の主は、誰?」



陽春の肩が震えている。



「顔をあげなさい。
私を見て応えよ!」



礼の声に怒りが混じる。



陽春のせいではない。



だが、こうするするしかない。



陽春も、それを承知で来たはずだ。



陽春は、礼の瞳を捉えた。



「どうか、お心をお沈めください。」



「―――っ。」



礼の糸が切れた。



パシンと平手の音が、宙を舞う。



「お前まで…」



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