月物語 ~黒き者たちの宴~



カタリ、とお茶が出された。



「私もいますから。」



光燐が心配そうに呟く。



「そうね。
ありがとう。」



今、言えるのはそれだけだ。



光燐も、それが気休めであることはわかっていた。



けれど、“こちら側”の情報を統括していた劉向はもういない。



―東老師に、後は東老師しか。



彩夏は目を瞑った。



劉向が一番巻き込みたくなかった相手。



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