月物語 ~黒き者たちの宴~



あぁ、朱雀が死んでしまう。



“死”



陽春の顔が浮かんだ。



―嫌だ、嫌だ嫌だ。



「誰か、助けて…」



その時だ、別の牢から声が聞こえた。



「兄の、蒙御吏大夫のところへ行ってください。」



声のした方へ近づく。



殆ど死にかけている。



擦れた声でもう一度言った。



「兄の、もとへ…」




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