月物語 ~黒き者たちの宴~


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「くそっ、どこにいやがる!」



獅子は礼を探していた。



こっそり様子を覗おうとすると、部屋は蛻の殻だった。



―しかも、宋春も見当たらね―。



そう、礼たちと行動している男こそ、宋春だった。



雉雀たちと御史大夫の動向は、常に把握していた。



が、いつの間にか宋春の姿が消えていた。



―役立たずどもが!
だが、さすが華官。
やるなー。



「“やるなー”じゃない!」



「げっ。」



「“げっ”でもない!」



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