月物語 ~黒き者たちの宴~
先ほどの現場に居合わせた者たちは、彩夏に顔を向けた。
彩夏は床を眺めているだけで、糸を吊っていない操り人形のように座り込んでいた。
「彩夏殿。
彼女が王を刺した張本人である。」
朱雀は、今度は本気で劉巾を睨んだ。
その視線を知らぬふりをしながら、劉巾は管たちを見据えた。
―欺き通さなければ。
「王は彩夏殿を寵愛しておられたようだが、それがこの有様か。」
さっきまでの汗が引き、扇を口に当てながら金大好がぼやく。
取り入るものではなくなった礼は、彼にとってはもう必要でない存在だ。