月物語 ~黒き者たちの宴~



「口を慎め!」



珍しく声をあげた朱雀に、劉巾も「おっ」と眉をあげた。



「共犯か?」



「違っ―――」
「そうだ。」


朱雀が否定しようとするのを、劉巾が遮る。



「なぜ寵愛を受けながら…」



「それはわからぬ。
だから、“彩夏の身はこちらで預かる”」



劉巾は、どうどうと彩夏を守った。



彩夏を生かすには、それしかなかった。



真実を突き止めるまでの間、生かすことができる。



朱雀にもそれがわかっていた。



けれど、劉巾の言い様に腹が立ってつい、その計画を崩すところだった。



「いやしかし、そう言うわけにもいかぬでしょう。
王を殺したのですよ。」




< 311 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop