月物語 ~黒き者たちの宴~
「彼の方が死んでしまった。」
「まっ、まさか…」
「さっきの祝融様のお言葉だと、王は何らかの形で生きてるってことなのかはわかんねーが、とにかくその場では命を救われた。
どっちにしろ、陽春が死のーが、雉院にはあまり変わんなかったんだろーけど。」
皆の表情が強張る。
「そ、きっと別の目的があった。」
「きっと?」
獅子の歯切れが悪くなる。
「雉院も王を殺そうとしたのか?」
「それはないだろう。
王を殺してどうしようとしていうのだ。
王位継承は、世襲、追謚、重祚、いずれも認められてはいない。」
「第一、彼女はもう―――」
高官たちの頭がやっと回りだす。
「だーかーらー、その辺が“天の罪”ってのと関係があるんじゃねーのー?
もう、雉院は死んだ。
真実は闇の中だよ。」