月物語 ~黒き者たちの宴~
「油断してたぜ。
まさかあんたも手を組んでたとはな。
だが、ぎりぎり王が開放した。」
「お前の目論見はわかってる。
そうだろ、張御史次官?」
劉巾が張湯に投げかけた。
目を瞑っていた蒙易冶には、張湯が頷いたのかどうかはわからなかった。
「お前は、雉院に嵌められたんだ。
証拠として、弟を生かしていた。
祝融がいるから暫くは飲まず食わずでも生き延びられる。
そして、主上に贈った『花』。」
話しながら劉巾は、引っかかりを覚えた。
―何か、違う。
「お前は、陽春に王殺害を命じた。
雉院が命令したとか何とか言ってね。
ま、雉院と会ったときに矛盾が生じないよう、他にも色々言ってたんだろうが。
けれど、そこでも予想外のことが起きた。
『花』が王に好意を持ってしまった。」
「………。」