月物語 ~黒き者たちの宴~



控えの一室に通された。



一つだけ置かれた豪華な椅子に座らされる。



そういえば、彩夏の姿を見ていない。



朝の着がえの時にもいなかった。



急に不安が沸き上がってくる。



いや、それが不安なのか、礼にはわからなかった。



何しろ、緊張というものをしたことがない。



身体が心臓の動きと共に、揺れているような気がする。



そんな礼の様子に気づいてか、一人の次女が近づいて手を握ってきた。


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