雨のち晴
当たり前のように隣にいる
諒司先輩に、あたしは
すごく頼っている。
それが自分でも分かってて、
すごく申し訳なくて。
「到着~っ」
先輩たちに誘導されて、
連れて来られた場所。
最近出来た、
コース制のレストラン。
「さ、入ろっか」
あたしと同様、
恵衣も麗華も驚いていて。
だってここ、
結構な値段するし。
「いらっしゃいませ」
イケメンなおじさまが、
席まで案内してくれる。
丸いテーブルに、
真っ白なテーブルクロス。
イスは革で一面覆われていて、
高級感バリバリ。
「ただいまお料理をお持ちいたします」
一礼をして去って行く店員と
入れ違いに、お冷を持った
店員が来て、コップを並べて行く。
「とりあえず飲み物選ぶか!」
あたしたちはそれぞれ
好きな飲み物を頼み、
店員に伝える。
思った以上に早く運ばれてきて、
みんなで乾杯。
「美味しい?」
「うんっ!すごく美味しいです」
嬉しそうな諒司先輩の笑顔。
あたしも嬉しくて、1人微笑む。
「いっぱい食えよ!」
諒司先輩はみんなにそう言う。
本当この人は、
すごく人のことを考えてる。
気が利くというか、
周りをよく見てるというか。
それからコースの料理が
たくさん運ばれてきた。
目の前には美味しそうな、
大きいステーキ。
あたしは無我夢中で、
頬張った。
「朱里」
「ふぇ?」
もぐもぐ食べているあたしに、
突然声をかけるものだから。
間抜けな声が出て。