雨のち晴





「朱里!」




2人はあたしを挟むように


座ると。


さっき落としたあたしのタオルを、


肩にかけてくれた。





「事情は女子から聞いた」





「ん…」





「本当いつもタイミング悪いよね。朱里と藤田って」





麗華がそう言うと、


そうだそうだと恵衣が賛同。






「あたし、訳分かんなくて…」





「朱里が悪いよ」





麗華はあたしを見つめて、


厳しい言葉を吐いた。


あたしが、悪い?





「ちょ、麗華っ」






「朱里は誰が好きなの?」






「それは…」




恵衣は慌てて麗華に駆け寄るが、


あたしはそれを制した。


あたしが好きな人は、


決まってる。


十夜しかいない。


十夜しか。






「自分でも分かってるんでしょ?」






「…うん」






「曖昧な態度が、人を傷つけるんだよ」





そうだね、麗華。


あたし、痛いほど分かってたのに。


優しくされるほど、


苦しいこと分かってたのにね。






「ちゃんと伝えなきゃ、ね?」





「うん、分かった」





ありがとう、麗華。


あたしがそう呟くと、


麗華も恵衣もあたしを


抱き締めた。


春斗、ごめんなさい。


もしかしたら、


あたしがあなたを


苦しめてたかもしれないね。


ちゃんと伝えよう。


十夜が好きだって、


ちゃんと話そう。


そうすることが、


あたしに出来ることだから。






「部屋、戻るよ?」





「うん」





「きっとみんな心配してるよ」





いつもいつも、


2人に支えられていて。


嬉しいやら、情けないやら。






「もう泣かないでよ」





「朱里、お菓子あげるからねっ」





「子ども扱いしないでよ…」





笑い合いながら、


ふと頭に浮かんだ十夜の姿。


あんなに怒る理由は、


一体何なんだろうか。


あたしを惨めに思った?


軽い女に見えたかな?


どうしていつも、


あなたは遠いの?


ねぇ、十夜。


会いたいよ…。






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