雨のち晴






『今年も補習だったら、またあいつらから朱里借りる』





そう言った。


ねえ、十夜。


望んじゃうよ。


今年も十夜がまた、


補習だったらいいな、なんて。


期待しちゃうよ。





「ばか…」





『朱里も勉強中?』





「寝ようかな、眠たいし」





きっとあたしの顔が、


すっごく赤い。


頭の中には十夜だらけで。





『俺も頑張るから、朱里も頑張れよ』





単純だから、あたし。





「うん、頑張る」





さっきまで、もう寝ようと


考えてたのに。


机の前に座って、


鞄から明日のテストの教科書を


取り出す始末。





『電話して悪かったな』





「ううん、全然いいよ」





『じゃあ明日ノート取りに行くから』





「うん。待ってるね」





切りたくない。


十夜との、電話。






『じゃ』





「あっ、十夜。ちゃんと勉強しなきゃだめだよ!」





『分かってる。ちゃんとする』





「でも眠かったら無理、しないで」





『朱里もな。無理しないで、ちゃんと寝ろな』




あたし、何してんだろ。





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