雨のち晴





関わったのもほんの数日。


だけど、何か。


この人が人気あるのが、


少し分かる気がするって。


ふと思ったりする時もあって。





「それじゃ、さようなら」





『え~、遊びに行かないの?』





「行きませんて。今日は恵衣と麗華と約束してるんで」





『じゃあ俺らも混ぜ…』





「やーです。じゃ」





あたしはそう言うと、


まだ何か話している諒司先輩を


無視して、電話を切った。


時計を見て急いで着替える。


今日は3人で映画見て、


その後ショッピングなんだから。


早く行かなきゃ。


あたしは昨日から考えてた


服に着替え、鏡の前で


化粧を軽めにする。


よし、行こう。


準備が出来たあたしは、


玄関に行き、パンプスに


足を滑り込ませる。


待ち合わせの10分前なのに、


約束の場所にはもう2人の姿。





「おっはよ~!」




少し駆け足で2人の元に向かう。


麗華は気付くと微笑んで、


恵衣は気付くと申し訳なさそうな顔。





「朱里…ごめんね、その、」




「全然いいよ!さっき電話かかってきたけど」




「え、やっぱり。あ~、かけないってい言ってたのに」




「そんなことより映画に遅れちゃう!その話は後でしよ!」




あたしは2人を連れ、


映画館に向かう。


今日見る映画は、


最近放映されたばかりの


切ない恋愛小説を映画化したもの。


あたしたち3人は、


その小説が大好きで、


放映が決まったと聞いた時、


すぐ行くことを決めていた。





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