万華鏡
「…これから千尋はどこか私の知らないところで生きて行くんだね。喜ばなきゃいけないんだけど…でも寂しい。」
「大丈夫。きっと理佳子の傍で生まれ変わるから。だから…待ってて。生まれ変わった俺は理佳子の事、きっとわからないだろうから、理佳子が俺を見つけてよ。約束だ。」
「そんな…。何か目印とかわかるような何かはないの?」
千尋はにっこり微笑んで、
「大丈夫。きっとわかるから…。」
千尋の姿が段々薄くなっていく。
やだ…まだここにいて。
行かないで!
お願いよ。行かないで!
引き留めたいのに声が出なかった。
気が付くと辺りは薄明かるい。
もう朝?
いつの間にか眠ってたんだ…。
頬にはまだ乾かない涙の跡。
千尋、ありがとう。私、幸せになるよ。