万華鏡


私の誕生日に千尋は産まれた。

産まれる1ヶ月前から千尋のお母さんは実家に帰っていて、産まれてからもしばらくは会えなかった。

会えたのは千尋が2ヶ月の頃。

小さくて寝てばかりの千尋と早く遊びたくて、ウズウズしていた。

時には起こしてしまうこともあった。そんな時、母親には叱られたけど、千尋のお母さんは、

「一杯寝たら早く大きくなるから。そしたら理佳子ちゃんと一杯遊べるよ。だから寝かせておこうか。」

「うん!」

優しく宥めてくれた。



お座りができるようになり、掴まり立ちをするようになると目が離せなくなった。

私は千尋のお守りを自ら駆って出て、まるで自分の弟のようにいつも一緒にいた。

そんな私の様子に、

「理佳子ちゃんがよく千尋の面倒見てくれるから、おばちゃん助かっちゃう。はい、ご褒美。」

そう言ってお菓子の入った小袋をくれた。小袋には手書きでニコちゃんマークが書かれていて、それがとても嬉しかったのを覚えている。




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