万華鏡

5.日記



千尋の部屋は窓が開いていて、レースのカーテンが風で少し揺れている。

壁には合気道で取ったであろう賞状が飾られ、その下の棚には楯やトロフィーがところ狭しと置かれていた。

大きく息を吸うと、ゆっくりと机に向かった。



表紙を捲った最初のページから千尋の思いが一杯で、一字一字噛み締めるようにゆっくりと読んでいった。





昨日、引っ越した。
今日から理佳子がいない。
ちゃんと仲直りすればよかった。
嫌われても傍にいて、理佳子の姿が見られればそれでよかったのに。
きっと毎日がつまらない。




理佳子に会いたい。
会いたい。
会いたい。
………。

何でまだ中学生?
早く大人になりたい。
理佳子
今何してる?
理佳子…理佳子…。




こんな女々しいのは嫌い?
『強い人がいい』
そう言ったよね?
じゃあ強くなるよ。
強くなったらまた前みたいに仲良くなれるかな。




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