おもちゃのユビワ
しばらく歩くとジャージ姿の秀二が歩いていた。



ナオはここぞとばかり、秀二を呼んだ。



「秀二ー!」



その声に秀二が振り返った。



「高木くん、ここでいいよ。秀二と帰るから。バイバイ」



「待って待って、何で?送りたいよー。」



「いいの、秀二がいるし。」



「ナオちゃん、あいつが好きなの?」



「好きだよ。」



「男として?」



「え?」



「彼氏にしたいの?」



「いや、そういうわけじゃないんだけど。あのさ、高木くん!私高木くんの想いには応えられない。ごめんね。」



ナオはその場から逃げ出すように走り去った。



「ナオちゃーん、また一緒に帰ろうねー。」


高木は大きな声で叫んだ。



秀二にもその声が聞こえていた。



< 118 / 200 >

この作品をシェア

pagetop