おもちゃのユビワ
二人並んで駅へと向かう。切符を買って、電車が来るのを待合室で待つ。



誰が二人を恋人でないと疑うだろうか。周りからみれば、まさしく恋人同士の二人だ。



しかもナオはいつもより女の子らしい上に、テンションが高い。



笑顔のナオがより二人を恋人に見せた。



しかし、秀二はナオとは裏腹に沈んでいた。



電車が来ると二人は乗車し、並んで座った。



「ね、秀二。拓兄ちゃんの部屋どんな感じなの?」



「あー、行ったことねんだわ。」



「あれ?引っ越しのとき行かなかったの?」



「荷物を車に乗せるのはしたんだけど、助手席にも乗せていっぱいだったから、父ちゃんだけ行ったんだ。」



「そうだったんだ。」



「無理して詰めて乗ってくかとも言ったんだけど、さすがにちょっと遠いからやめた。」



「ふーん、じゃ初めてなんだ。」



「ああ。」



「えっ、道分かるの?」



「迎えに来てると思うよ。」



「優しいー、さすが拓兄ちゃん。」



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