おもちゃのユビワ
秀二は悩んでいた。陸上部に入って助っ人をしたい気持ちもあったが、中途半端に迷惑になりたくはない。



ただスポーツが好きなのでやりたい気持ちもあった。
ナオのこともある。



その時、秀二の携帯が鳴った。かけてきたのは兄の拓巳だった。



「もしもし。」



「秀二!兄ちゃんだけど。」



「ああ、何?」



「陸上部入るんだって?」



兄に情報が回るのは早さに驚いた。小池のルートであることはすぐに分かった。



「彼女に聞いたのか?」



「ああ、正確に言えば彼女の妹からだけど。」



「小池と話したの?」



「ああ、電話に出て、俺からも言ってくれってな。」



「はあ、なるほどねー。」



「で、やるのか?」



秀二は先生に言われたことを拓巳に話した。


「そりゃ、中途半端に走っちゃダメだろうよ。でも本気で練習して走れば、いいじゃないか。」



「本気で…」



「彼女の妹に言われたからじゃない、やれよ秀二。もったいない。お前は運動神経いいんだからさ。」



「そうだな。やっぱやるか。」



「おお、見に行くよ。」



「うん。」



秀二は陸上部に入部することを決めた。



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