失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



その日の夜、寝る前にヤンキー全員にメールを送った。



“明日、遊びに行くね”




たったそれだけ。



たったそれだけの文章に、みんなが返信をくれた。




“あっそ”


一番速かったのは大雅。
そっけない態度だけど、拒否しないのは賛成ととる。


“俺明日いない”


あたしのメールにたいしてではなく普通に自分のことを報告してきたのは大翔。


“シュークリームならあるよ”


別にシュークリームはなくてもいいよ。
でもそうやって優しい返信をくれたのは優真君。


“待ってるね!”


颯太があの笑顔で待ってくれていると思っただけで顔がほころぶ。


“別にメールとかいらない。おまえはもう仲間だから、好きなときに来い”


陽のそのメールに、手がとまった。


“おまえはもう仲間だから”


陽に認めてもらえた。


それがなぜか無性にうれしくて、届かないと分かっていながらその場で頷いてしまった。


うん、そうだよね。


そんな意味をこめて。


その日、久しぶりにぐっすり眠れた。





――――――亜美の消したかった記憶






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