失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



話の中心はそこじゃない。


「実はそれがきっかけで、最近大翔さんや、大翔さんの友達と仲良くさせていただいているんです」


あたしの口から“大翔の友達”と出た瞬間の彼の顔。


“あぁ、これか”と思った。これが嫌がる顔か、と。


「もしや、あのヤンキーどもですか?深瀬さんともあろう御方が、あんな奴らと絡むなんて……」


彼の口から“あんな奴ら”と出た瞬間、亜美は彼に殴りかかりそうになった。


――まだだ


まだ早すぎる。


「案外良い人たちですよ。それで、いつもお世話になっているので、今日はお礼を言いにきたんです」


「……っえ」


驚いた顔。


後少し。


「お礼、ですか?」


「えぇ、お礼です。本当は、今日も事前にご連絡する予定だったんですが、予定が急に空いたので……、すいません」


「い、いえ」


戸惑った顔。


自分が馬鹿にしている奴らと、自分が相手にしてほしい相手が繋がっている。


耐え難いのかも。


――これからが大事


「実は――――」


「亜美、何してる!」


何でいるの!


これからってときに、大翔が現われた。





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