失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
不思議といつも通りに起きることが出来た。
「……寝覚め、あんまりよくない」
たくさん寝たはずなのに、なんとなくダルい。
心の何処かで、自分が悪いことは分かっていた。
陽に会うのがこんなにも気まずく感じるのは初めてだ。
部屋を見回してみればどこかさみしい。
荷物はかなり片付けてあるし、今使わないものはすでに送ってある。
あとはスーツケース一つと小さなバックだけだ。
タンスの中には服は入ってない。
亜美はベッドから出ると顔を洗って歯を磨いて、服を着替えてもう一度部屋に戻った。
そして、軽く化粧をした。
そして、時計を確認すればもう10時。
そろそろ行かなければ。
飛行機の時間は夕方の五時。
大翔はすでに陽達をあの音楽室に集めてくれているはずだ。
あとはあたしがしっかり話をするだけ。
「佐伯さん、いる?」
「はい」
「陽達のとこまで送っていってください」
「かしこまりました」
佐伯さんの車に荷物も全部乗せた。
父さんにも、瑠伊にも見送りはいらないと伝えてある。一生の別れじゃないから、甘えたくなるから。