秘密の関係
あたしの頭をくしゃくしゃってなでながら、彼がにいっと笑う。
胸のどこか、自分ではわからない場所が、きゅうっと痛くなる。
「おはよぉ…。」
あたしは眠たいふりをして、彼の首にぎゅっとだきついた。
いつもの香り。少し長い髪の毛が、あたしのほっぺたをくすぐる。
甘い天国だ。

でもあたしは、もう現実にもどらなきゃいけない。

甘い甘いこの天国を、「なかったこと」にしなくちゃいけないのだ。
夢からさめるみたいに。

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