プリズム
言わなかったけど蕾美さんはガンだった。施しようがないくらい転移していて、急な様態変化だったらしい。
流星はとなりで静かに蕾美さんを見つめている。
二度と笑いかけることも動きもしない蕾美さんを。
わたしはなぜだか、その時泪は出なかったんだ。
ただ、握りしめた遺書を読む日がこんなに早く来るなんて……
それだけがまだ信じられなくて、辛かった。
世界が止まったままのようだった。時計の針は進んでいくのに。