プリズム


ピンクの巾着にお弁当箱を入れながら控えめに笑いかけてくる。


「そうじゃん…うわぁ…騙された」


らっ…落胆。机に顔を伏せると、トントンっと杏は慰めるように叩いてくれた。

耳元で柔らかい声が響く。


「気ぃおとさずに」

「でも」

「ま、本人嫌がるかもだからね」

「!」


そっか!と勢いよく顔を振り上げた。前髪がふわりと上がる。


「だよね!」


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