甘い君の唇にキス~恋の秘密は会議室で~
「だから、もう一度だけ」と浩二は言った。
……会いたくなかった。
顔を見てしまうと思い出すから。
楽しかった日々や、プロポーズが嬉しくて泣いたこと。
そして、寄り添っている二人を見てしまった夜のことも。
「無理だよ、浩二。だって、」
一度や二度の浮気ぐらいと思ったこともあった。
だけど、浩二はあたしと別れて、その女の子と付き合った。
「カナ、好きなんだ」
「あたしは、もう好きじゃない」
イヤだ。こんな話したくない。
誰も居ないフロアであたしたちの声が響く。
「俺のことが好きじゃないなら、どうして泣くんだよ」
「それは……」
あたしの心の中に、浩二を想う気持ちがまだ残っているのだろうか?