甘い君の唇にキス~恋の秘密は会議室で~
だけど、運動不足のせいですぐに息が上がって動けなくなってしまった。
カッコ悪い。
肩で息をしてゼーゼー言っているあたしに、孝太が遠慮がちに声を掛ける。
「センパイ、忘れ物……」
チラリと視界に映るコンビニの袋。
……中身見たの?
恥ずかしい。泊まるつもりで買った物。
あたし、断られるなんて思っていなかったんだよ。
おまけに、あんなキスされて取り乱して。
「センパイ、家に帰れない理由でもあるんですか?」
「べ、別に」
孝太からコンビニの袋を奪うように取って歩き出した。
距離を置いて孝太がついてきているのが雰囲気でわかる。
「…………」
「…………」
「何?」
「え、何でわかったんですか?」
「気配」
「忍者、いや、くの一ですか?」
「……バカ」
「さっきも言われました」
自分のアパートに近づくにつれ、歩くスピードが落ちていく。