甘い君の唇にキス~恋の秘密は会議室で~
されるがまま、孝太のキスを受けていた。
孝太とこんなキスをするなんて思っていなかった。
きっと、あたし達の関係は変わってしまう。
もうあたしは、ただのセンパイなんかで居られない。
それが怖いよ、孝太。
孝太の唇がゆっくりと離れていくのと同時に、あたしは自分のバッグに手を伸ばした。
「あの人のキスは消しましたから、もう大丈夫です」
孝太は悪びれもせずに、いつもの柔らかい笑みを浮かべる。
大丈夫って、何がどう大丈夫って言うの!?
自分がしたことの意味わかってる?
唇が震えるだけで言いたいことが言葉にならない。
「こ、孝太のバカッ」
やっと出てきた言葉を投げつけるように叫んで孝太の部屋を飛び出した。
背後で孝太が何か言っていたけど、理解する余裕もなくて振り向きもせずに走った。