小鳥と恋愛小説家




「…………ぅぅ…気持ち悪い…………」



ずぶ濡れもいいとこで何とか学校に辿り着いたあたしは濡れた身体で寒さにブルッと震えた。



重くなったスカートの裾をぎゅっと絞ると吸い込んだ雨がボタボタと落ちた。



てか…………学校薄暗いんですけど………。



シン…とした玄関から校内を振り返ってみるものの、なんか生徒の影もないんすけど…………。



嫌な予感が頭を過る。



まさかまさかと思っているそんな時―――












「…………あれぇー?小鳥ちゃん?」



「……………!」










この場に不似合いなのんびりとした声とともに現れたのは



カナくんのもう一人の従兄弟で、ツバサさんの双子の弟…………………









「……………綾瀬くん………?」



「うん、そー」









ツバサさんとよく似た顔でにっこりと笑う…………綾瀬 翔くんだった。










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