小鳥と恋愛小説家
「…………。」
「…………。」
無言で歩くツバサさんに連れられて、あたしは人気のない屋上にきていた。
「…………身体、もういいの?」
「………!…………あっ、もう、すっかり………!」
急に振り返ったツバサさんにどぎまぎしながらそう答えた。
「そう……。」
「う…うん。」
ツバサさんらしからぬ態度に困惑はますます深まった。
気まずい沈黙に思わず空を見上げた。
どんよりとした厚い雲に覆われて………雨でも降りそうな曇り空だった。
二人の間を湿気を含んだ生暖かい風が吹き抜ける………。
それを合図にするように、ツバサさんがゆっくりと顔をあげた。
「…………あんたはいいわね………。
いつも元気で、友達も多くて……………カナヤが、いて………。
ねぇ……!
そんなにたくさんのモノを持ってるのに、何にも持ってないあたしから、カナヤまで奪うの………!?」
「…………!?」