先生が生徒を監禁して
「なつ、か、わ……」
夏川が俺の右手を取った。取り、手のひらの腹部分を舐める。
赤ピンクした生ぬるい舌がざらりぬちゃりと血を舐めとる。
慌てて、手を引っ込めた。
「……!」
なんだ今のは。
右手を押さえ、夏川を睨んだ。
睨むしかなかった。
怒りだ。
俺にこんな気持ちにさせたことへの。
監禁した以上、いや、思い通りにいく現実にする以上、俺は夏川より上の立場でなければならない。
なのにこのざま。
言ってしまえば、ときめきにも似た感情を覚えた。あの行為に。