先生が生徒を監禁して


「なつ、か、わ……」


夏川が俺の右手を取った。取り、手のひらの腹部分を舐める。


赤ピンクした生ぬるい舌がざらりぬちゃりと血を舐めとる。


慌てて、手を引っ込めた。


「……!」


なんだ今のは。


右手を押さえ、夏川を睨んだ。


睨むしかなかった。

怒りだ。


俺にこんな気持ちにさせたことへの。


監禁した以上、いや、思い通りにいく現実にする以上、俺は夏川より上の立場でなければならない。


なのにこのざま。

言ってしまえば、ときめきにも似た感情を覚えた。あの行為に。


< 36 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop