先生が生徒を監禁して



「ほら、あーん」


玉子焼きを手始めに取り、食べやすい大きさで夏川の口まで運ぶが――堅く閉じられた口は開こうともしない。


ただ、顔は欲求と戦っているようだ。

無理もない。
丸一日、彼女はこうして食べることを拒否しているのだから。


「食べたらどうです?おいしいよ」


害はないものだと自分で食べてみせた。

そうして、玉子焼きの片割れをまた口まで運ぶ。


「どうぞ」


「っ……」


ここでやっと、夏川の口が開いた。


絡み合いたい舌が微かに見えて、口づけしたい口に玉子焼きを入れる。


咀嚼をしていく内に驚いたような顔になる夏川。

< 4 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop