眠れぬ夜は君のせい
「――アリ…」

消え入りそうな声で名前を呼んだと思ったら、触れてきた唇。

逆らえない。

逃げられない。

離れることも、できない。

ただそこにあるぬくもりを手放したくなかった。

寂しくて、苦しくて、彼に抱かれた。

会社と言う場所を忘れて、ただ肌を重ねた。

「アリ…」

名前を呼ばれることが嬉しい。

重なる肌が嬉しい。

アタシたちは時間も忘れて、それに没頭していた。
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