眠れぬ夜は君のせい
胸につけられた、赤い跡。

「こう言うの、嫌いなのに…」

雨のように降り注ぐシャワーを肌で感じながら、呟く。

鏡に映るのは、アタシ。

胸に咲いた赤い跡を、指で触れて見る。

1輪の花のように咲く、赤い跡。

まるで、バラのようだった。


翌日。

いつものように出勤すると、同僚たちが騒いでいた。

アタシは何事もない顔をし、デスクに向かう。

けど、それが聞こえた瞬間、耳を疑った。

「岩崎課長、結婚するんですって!」
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