眠れぬ夜は君のせい
「そう…よかったじゃない」

わたしは言った。

「大事にしてあげなさいよ、その子」

背中を見せ、その場を去った。

泣けなかった。

いや、泣くことができなかった。

理由は、わかっていたから。


「藍子、今日ヒマ?」

そう聞いてきたのは、ヒロだった。

「全然ヒマだけど、何かあるの?」

わたしは聞き返す。

「あのね、今日合コンしようと思うんだー」
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