眠れぬ夜は君のせい
「……それは、心配しないで」

桜子さんが言った。

「あの人は今日、出張だから」

寂しそうに、悲しそうに、言う。

さっきまでの楽しそうな様子は、どこに行ったのだろう?

さっきまでの笑顔は、どこに行ったのだろう?

「無理、しないでください」

俺の唇が、動いていた。

「つらいんだったら、無理しない方がいいっすよ?」

勝手に動く唇は、止まることを知らない。

「俺、桜子さんの力になりたいっす。

桜子さんには、いつも笑って欲しいっす」
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