眠れぬ夜は君のせい
「旦那さん、3日間も仕事にこなかったらしくて。

それで不審に思った同僚の人が訪ねて、大家さんに頼んでカギを開けてもらって中に入ったら……もう手遅れだったって」

瑠香の説明に、俺たちは黙って聞いていた。

サイレンの音が、耳に痛い。

「あ、浜田さん」

少し太った中年のおばさんが俺たちのところに駆け寄ってきた。

「大家さん…」

桜子さんが小さく呟く。

大家さんは俺に視線を向けると、
「その方は…?」

「甥っ子です」

どう答えようかと迷っていた俺に、桜子さんが言った。

俺は少し、ホッとしていた。
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