眠れぬ夜は君のせい
だって、言える訳があるまい。

俺たちの関係を。

「浜田さんに、旦那さんから伝言を預かっているの。

ちょうど亡くなる3日前に私のところにきて、桜子に伝えて欲しいって」

「主人から伝言を…?」

また訳がわからないと言うように首を傾げた桜子さんに、大家さんは言った。

「“今まですまなかった”、って。

とても深刻そうな顔で、あの人はそう言ってた。

“許してくれとまでは言わないから、せめて今までのことを謝りたい”、って」

「あの人が…」

桜子さんは両手で顔をおおった。

「何か……私も申し訳なかったわ」

大家さんが言った。
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