眠れぬ夜は君のせい
灯りのついていない薄暗い廊下を歩いていると、だんだんと目が暗闇になれ始める。

まるで吸血鬼だなと思いながら、俺は廊下を歩いた。

「――ん…?」

窓に誰かがいることに気づいた。

月明かりが差し込み、廊下の一部を照らしている窓。

そこに立っているのは、
「――あげは?」

俺に名前を呼ばれたことにビクッと肩を揺らし、あげはは視線を向けた。

「そんなとこで何やってるんだ?」

俺が歩み寄ったとたん、あげはは逃げるように後ろへ下がった。
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