眠れぬ夜は君のせい
「――やっ…!」

俺の手が太ももに触れた瞬間、あげははビクッと躰を震わせた。

そのまま焦らすように、彼女の太ももをなでてやる。

ビクビクと、あげはは感じているように震えている。

「――ま…正宗、様…」

震える声で、あげはが俺の名前を呼んだ。

後ろに“様”がついているが、名前を呼んだから見逃すことにしよう。

「いい子だ、あげは」

「――んっ…!」

震えた躰にあわせるように、あげはの長い髪が揺れた。

「――呼んだから、やめてくれるんじゃないんですか?」

「そんなこと、誰が言った?」
< 45 / 252 >

この作品をシェア

pagetop