眠れぬ夜は君のせい
「あげは…」

そっと、彼女の腰に手を回した。

細い腰だ。

うっかり力を入れたら、折れてしまいそうだ。

こんな細い躰で、よくできたものだと思う。

頬に手を伸ばし、親指でゆっくりと唇をなぞる。

「……ッ」

見る見るうちに、紅く染まるあげはの頬。

もう…重症かも知れない。

それだけで消える理性。

それだけであおられる本能。

「――んっ…」

唇同士が触れた瞬間、あげはの躰が震えた。
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