眠れぬ夜は君のせい
「わたしは、指名手配中の吸血鬼です。

何人もの人間を殺してきました」

「お前は何が言いたいんだ?」

まだ何か言いたそうなあげはをさえぎった。

あげはは口を閉じる。

「吸血鬼だから、何だって言うんだ?」

腰に回っている手の力を強くする。

「俺はお前を世間に出すつもりはない。

これから先も、だ」

言い終わると真っ先に唇をふさいだ。

「――んっ…」

深く、深く…堕ちるところまで堕ちる。
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