眠れぬ夜は君のせい
どうせ、もう会わないのに。

会うことなんて、もうないのに。

けど、わたしのことを忘れないでなんて思っている自分がいる。

音を立てずに、静かに窓を開けた。

「――さようなら…」

別れの言葉を呟くと、夜の闇に飛び出した。


もし吸血鬼じゃなかったら。

人間として生まれていたら。

人間として、あなたと出会っていたら。

そしたら、迷わずに伝えたい。

あなたにこの言葉を伝えたいの。

愛してます、って。
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