眠れぬ夜は君のせい
もう、会うことなんてないだろう。

今日を最後に、正宗様と会うことないだろう。

これ以上見るのがつらくて、視線をそらした。

出てきそうになる涙をこらえる。

正宗様、ごめんなさい…。

何も言わず、黙って出て行く行為が卑怯なことくらい、わかっています。

でもこれ以上、あなたのそばにいることはできないの。

そっと、正宗様に向かって手を伸ばした。

すぐに引っ込めた。

やっぱり、できなかったから。

彼からわたしの記憶を消すことなんて、できなかった。
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