眠れぬ夜は君のせい
光の加減によっては茶色に見える黒髪。

丁寧に整った顔立ち。

長身のスリムな躰。

スーツ姿の男の人が、目の前にいた。

この人、何者…?

そう思って見つめていた瞬間、彼が唇を開く。

薄くもなく、厚くもなく、ただ形がいい唇が動く。

「まさか、こんなところで早くお会いできるなんて」

「えっ?」

どう言う意味なのだろう?

「君が、萌波ちゃんでしょ?

茅ヶ崎萌波(チガサキモナミ)ちゃん」
< 83 / 252 >

この作品をシェア

pagetop